アマシスを俺の「側仕え」にしたいと言った時、ジャハーンはものすごく変な顔をした。 なんというか、ちょっと怒っているようでもあったし(いやでもいつも怒ってるような顔してるしなあ)、ショックを受けているようでもあったし、何かあの時……セ、セックスの時みたいにちょっとギラギラしているようでもあった。 「何っ……」 と言ったきり、俺の顔をまじまじとその変な顔で見つめる(一見にらんでるようだが、もう慣れた)。何か言おうとして口を開いては、グッと唇を噛み締めて眉をひそめる……こんなジャハーンを初めて見た。いつだってこいつは言いたいことを何の迷いもなくズバズバ言うからだ。 「だめ?」 俺が様子を伺うようにして上目使いに見上げると、ジャハーンは「うううううう」と唸り出した。 「………………だめ、ということはない。お前は私の家臣ではないのだから、側仕えが欲しいなら自由に作ることができる」 「あ、そうなの?」 なーんだ、俺ってジャハーンの家来になったんじゃないんだ。なんつーか、「閨の相手」(BYアマシス)をさせられてるもんで、てっきりそっち系の家来にさせられたんだと思っていた。こいついつも俺に対して命令口調だしさ。 「そうなのって……私は、言わなかったか? お前は私の嫁になるべき神子だと」 「え? ……あ、ああ……初めて、河の時?」 「そうだ。覚えていたか。というより今思い出したようだが」 「だ、だって、俺男。無理でしょ?」 「無理なものか」 「だって、子供産めない、でしょ? 嫁、意味ない、違う?」 「あ? お前、子供を産みたかったのか?」 『なんでそーなるんだよっ!』 思わず日本語でつっこんでしまってから、コホンと咳払いをしてこっちの言葉で繰り返した。 「どうして、そう? 違う。子供産む、必要でしょ?」 「どうやら、神子の住む地とはここでも違いがあるようだな。お前の地ではどうなのか知らんが、ここでは王は伴侶を見つけるというのはとても難しいことなんだ」 「え? そういえば女の人少ない」 「話は最後まで聞け。……女が少ないわけではない。俺は、女の側仕えはたくさん持っている。子供を産ませる為だ」 「ふーん……」 あっそう。やっぱそーなんだ。そりゃそうか。アマシスのことだって抱いてたわけだもんな。この絶倫野郎が女抱かないわけないよな。ふーん。別にいいけどね。俺は全然気にしてないし。……ん? 側仕えって? 「男の側仕えはアマシスだけだった。それも、神子が現れた今は必要がなくなったんだが……もともと俺に男色の趣味はないしな」 「え? そうなの?」 「ああ。それに、子供もたくさん出来たしな。女ももう要らんのだが、まあとりあえず後宮で面倒を見ている」 ふーん。何か、俺を何の迷いも戸惑いもなく犯っちゃうし、しかもすげえ上手いもんだからこいつはてっきりそういう趣味なんだと思っていたけど。でも今実際俺とこんなんしてるんだから、結局そのケはあったってことじゃないのか? 不思議そうな顔でじーっと見ているのに気がついたのか、ジャハーンは弁解するように言った。 「私はな、ほんの子供の頃から伴侶となるべき神子の存在を聞かされていたんだ。神子が男だということもわかっていた。だから、アマシスはその練習台みたいなものだ」 ……なるほどね。ガキの頃からそう言い続けられて、何の疑いもなく男をお嫁さんにしちゃうってわけ? 「嫁というのはな、潤。王を支え、愛し、そして導くものだ。王は誰にも屈することのない存在だが、神と嫁には膝を折る必要がある。王は嫁を愛し、敬い、そして仕えていかなければならない」 言いながら、ジャハーンは俺の両手を握って膝を床についた。 「だからお前が側仕えが欲しいというのなら……私は何も文句を言うことはできない」 そうなんだ……でも、何かお話に水を点すようで悪いんですけど、何か側仕えって俺が思ってるのとニュアンスが違うような……。 「しかし、お前がそんなに溜まっているとは思わなかった。私だけでは足りないくらいに……こんな屈辱は初めてだぞ、潤。お前を壊してはいかんと思って手加減をしていたのが裏目に出たようだな。おい、覚悟しろよ。今夜は腰が抜けるまでお前を愛してやる」 げっっっっ! 何でっ!? どうしてそういう展開になるんだよっ! ていうか、ひょっとして側仕えって、なんていうか愛人とか、そういう存在なわけ? だからジャハーンがこんなんなっちゃってるの? アマシス……あの野郎〜! 「できたらさあ、側仕えにして欲しいんだけど、いいでしょ?」なんてさらっと言いやがるから、てっきりピピみたいな感じの家来だと思ってたらコレかよ! あのエロガキ! そんなこと考えて俺が沸騰している間に、ジャハーンはぐいっと俺の腰を引き寄せて、キスを繰り返している。どこにって、ジャハーンの頭があるとこより、ちょっと下の所だ。つまり、膝をついているジャハーンは、俺の息子に布越しにキスをしている、という。 「潤、潤……だが私は嫉妬のあまり狂ってしまいそうだ。お前が他の男に抱かれるなんて!」 「だーっ! 違う、違う! アマシス抱かない! 俺も抱かない!」 「あ……? ああ! わかったぞ、お前、アマシスに愛技を教わるつもりで側仕えに?」 「はあ?」 「そうかそうか、可愛いやつめ。いつも私に愛されてばかりいるから、私を愛する方法を知らないのだな」 「かわいいって……うわわわわっ」 ぞくぞく〜っとしてしまった。ジャハーンが、布地越しに俺の息子を舐め出したからだ。何か、べちょべちょした布がザラザラ擦れる感じが気持ち悪い。 「ちょっと、そんな所、舐めるやめろよ」 「ふふ、このもどかしい感じがいいだろう」 「はあ? ……アッ!」 ふいに、布越しに先端をチュウッと吸われた。ジュルジュル音がしてて、すっげえエロいんですけど! 「やだあ、ジャハーン……」 そんでもって、俺は何がどーしてこんな甘ったるい声なんか出しちゃってるわけ? 「大きくなってきたぞ、潤」 「馬鹿っ! 言うやめろ! ああ〜っ、ジャ、ジャハーン……」 ジャハーンは元気になってしまった俺の裏筋をチロチロっと舌でくすぐった。いつもなら脳天直撃のコレが、今日は布越しだから、何かじれったくて……この布が張り付く不快な感じが、ちょっと興奮するというか。ああ、俺も大概脳みそヤバくなってるよな。それもこれも、全部こいつのせいだ! 「いやあ、ジャハーン、布やだあ」 「ん? どうして欲しい?」 「あうっ、馬鹿ぁ……」 「言わなければわからんぞ」 「嫌だっ、ジャハーン意地悪!」 俺がどんなに悪態をついても、ジャハーンはにやにや笑って舌を動かすだけだ。 こんなじれったい快感じゃ、いつまでたってもイけないじゃないかよ! 「どうする? このまま朝までかけてイくか?」 むっかぁ〜! てめえ、ふざけんなよ! 「うるさい! もうジャハーンやめる! 俺アマシスしてもらう! アマシス側仕え、だからいいでしょ!?」 あまりにムカついたのでそう言ってやったら、ジャハーンの顔がぴきっと引きつった。 「何だと……・?」 あ……やば、怒ったかも。 「アマシスにしてもらう、だと!?」 大声で怒鳴ると、ジャハーンは俺のパンツをズルッと引き下げ、俺の息子を直に掴むとものすごい勢いで上下に擦りだした。 「ああっ! あっ、あっ、あっ、ダメっ、あっ」 痛いくらいの快感に、俺はのけぞって倒れそうになる。 ジャハーンは俺をベッドに突き飛ばすと、そのまま馬乗りになって、再び激しく掻きだした。 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」 「ああ、してもらうがいい! ただし、この後そんな精力が残っていたならな!」 「あっ、あっ、ジャ、ジャハー、んんっ、ご、ごめ、なさっ……」 あっ、もうだめ! 俺は、ジャハーンの手の中に勢いよく射精した。 びくびくっと痙攣しながら白いものを吐き出すそれを、ジャハーンはまだ掻いている。 「まだだ、潤。まだ足りん!」 「ゆ、許して、ジャハーン……ごめんなさい、俺、」 「駄目だ、今夜は一滴も出ないくらい搾り取ってやる!」 ひえええええ……。 ダメだ、こいつ目がイッちゃってるよ。 その後、俺は自業自得というべきか、言葉どおり散々イかされた。 4回目までは意識があったけど、その後は夢の世界に頭がブッ飛んだ状態で、それでも激しく揺すぶられているのを感じていた……。 |